付録1 言葉の意味と、1棟目のチェックリスト

1棟目のチェックリストの流れ。始める前と物件の値段、物件の中身とお金と融資、買付から買ったあとまでの順に確かめ、届かない項目は章に戻る。 拡大戦略

この付録は、本文に出てきた言葉の意味と、1棟目を買う前に確かめることをまとめたものです。前半は、読んでいて分からない言葉が出てきたときに引く表です。後半は、始める前から買ったあとまで、順に当てるチェックリストです。

言葉の意味

言葉は、テーマごとに並べました。右の列は、詳しく書いた章です。

お金の基本

言葉意味章
キャッシュフロー(CF)家賃から、借入の返済と経費を引いて、手元に残るお金1
元金・利息毎月の返済のうち、元金は借りたお金そのもので、返した分だけ借入の残りが減る。利息はお金を借りたことへの支払いで、払っても借入の残りは減らない1
返済予定表金融機関が出す、毎月の返済を元金と利息に分けた表1
経費物件を持つためにかかる費用。固定資産税、管理会社に払う管理費、修繕費など。筆者の目安は、戸建てで家賃の7〜10%、一棟のアパートで10〜15%(空室で入らない家賃は含まない)1
資産・借入・純資産資産は持っているものの値段、借入はこれから返すお金。純資産は資産から借入を引いた残りで、自分の取り分。この記事では、物件を評価額で数える(第8章・第9章のモデルは、相場で見た値段に手元の現金を足した)2
債務超過純資産がマイナスの状態。金融機関は、次の融資を出しにくくなる2・7
レバレッジてこのこと。不動産では、出したお金の何倍の物件を持っているかを指す4
担保借りたお金を返せなくなったときに、金融機関が売って回収できるようにしておく資産。不動産では、買った物件が担保になる。持ち主は住んだり貸したりしたまま使える1・3
掛け目担保にした資産を、何割の価値と見るかの割合3
不動産賃貸業物件を貸して家賃を得る事業。買って待つだけの投資ではなく、家賃・借入の条件・修繕などに手を打って価値を上げる事業として、第5章から使う5

値段と評価

言葉意味章
評価額(積算)金融機関が見積もる物件の値段。土地の値段と、建物の残りの値段を足して出す。金融機関は、評価額を、貸す額の目安の1つにする(借りる人の収入なども見る)2・8・10
路線価国税庁が道ごとに公表している、1㎡あたりの土地の値段。地価公示の8割ほどが目安。路線価図の数字は千円単位で、「130D」の130は1㎡あたり13万円2・10
借地権・借地権割合借地権は、他人の土地を借りて建物を建てる権利。借地権割合は、その値段が土地の値段の何割かを示す割合で、路線価図では数字の後ろの記号で示す。この記事の評価額の計算には使わないが、地域を見る手がかりになる6・8・10
地価公示国が選んだ地点の、建物がない土地の1㎡あたりの値段の目安。実際に売れた値段ではない1
法定耐用年数税金の計算で、建物を使える年数として国が決めた年数。住宅用の木造は22年、重量鉄骨造は34年、鉄筋コンクリート造は47年。多くの金融機関は、この年数を過ぎた建物を0円と見る2・5
積算割合評価額を物件の値段で割った割合。筆者は80%を目安にし、近くで売れた値段や家賃から逆算した値段とのバランスで見る8
相場同じエリアで実際に売れた値段。第4章では、住む人が実際に買った値段としている4・10
成約事例近くで実際に売れた物件の値段の記録8・10
売り出しの値段売り手が希望する値段。実際に売れた値段より高いことが多い4・10
利回り1年の家賃を物件の値段で割った割合。この記事では、経費を引く前の家賃で計算する(第9章の期待利回りだけは、経費を引いたあと)1・10
家賃から逆算した値段(収益還元)1年の家賃を、その地域で似た物件が売れている利回りで割って出した値段5・8・10
相場の約87%相場から、買うときの諸費用7〜8%と、売るときの費用約5%を引いた目安。この値段以下で買えれば、相場で売ったときに費用に負けずに済む4
65点筆者の呼び名。買った値段と同じ額以上で売れることと、評価額が借入を下回らないことの2つを満たす物件6
指値値下げの交渉10

融資

言葉意味章
債務償還年数借入を、1年に返せるお金(家賃から経費と利息を引いた額。会社員は給料の余りも含める)で割った年数。持っている物件と給料を合わせた全体で、20年以内に収めるのが筆者の線8
決算書1年の事業の成績をまとめた書類8
経常利益家賃から、経費と減価償却費と借入の利息を引いた利益8
自己資金物件を買うときに、借りずに自分で出すお金4・10
事業計画買ったあとの家賃・返済・経費・キャッシュフローを、年ごとに並べた表10
手元の現金15%買ったあとも、住宅ローンを含む借入の総額の15%の現金と預金を残す、筆者の線6・8
回るその物件だけで、家賃から経費と返済を引いた額がプラスになること。筆者は、金利が5.5%くらいでも回るかを見る4
元利均等毎月の返済額が同じになる返し方5
政策金利日本銀行が決める、金融機関どうしが1日だけお金を貸し借りするときの金利の目標6
アパートローン会社員向けの、投資用の決まった形の借入6
ノンバンク銀行ではない、お金を貸す会社1・7
保証会社借りた人が返せなくなったときに、代わりに返す会社。代わりに返したあとで、借りた人に請求する7
保証会社を付けない融資保証会社を付けない、その金融機関の独自の融資。業者や金融機関は「プロパー融資」と呼ぶ8
融資特約決めた日までに融資が下りなければ、契約をなかったことにでき、払った手付金も返ってくる取り決め10

物件の中身と調べ方

言葉意味章
区分マンションマンションの1室。土地は、ほかの部屋の持ち主と共有する持ち分としてしか持てない1・7
収益物件家賃を得るための物件5
築浅・築古建ってからの年数が浅い物件と、年数がたった古い物件7
修繕積立金将来の大きな修繕に備えて、毎月積み立てるお金7
更地建物がない土地1・4
旧耐震1981年5月末までに建築の確認を受けた、古い耐震の基準の建物。貸してくれる金融機関が限られる1
入居者付きの物件入居者が住んだまま売られる物件。空き家より安く出ることがある。業者の資料では「オーナーチェンジ」と書かれる1・4
サブリース業者が物件をまとめて借り、入居者に又貸しする形1・5
リースバック家を売った人が、売ったあとも家賃を払って住み続ける形1・5
定期借家・普通借家定期借家は、期間が来たら契約が終わる。普通借家は、入居者が住み続けたいかぎり住み続けられ、大家から解約するには正当な理由が要る5
管理会社大家の代わりに、入居者の募集や家賃の集金をする会社。家賃や修繕を決めるのは大家5
マイソク業者が配る、物件の概要をまとめた1枚の資料6・10
家賃の一覧部屋ごとの今の家賃と契約の中身を並べた表。業者の資料では「レントロール」と書かれる6
擁壁土を止める壁。筆者は、高さ1m以上の擁壁がある物件を検討から外す6
接道土地が道路にどう接しているか(道路の種類と、接している幅)6
建築基準法の道路建物を建てるときに、道路と認められる道6
再建築不可建築基準法の道路に2m以上接していないなどの理由で、原則として建て直せない土地6
旗竿地細い通路で道路とつながる土地6
境界隣の土地との境目6
登記簿土地と建物の持ち主・広さ・担保などを記録した帳簿。法務局で取れる6・10
公図土地の区画を示した図面。法務局で取れる6
ハザードマップ・浸水想定区域ハザードマップは、洪水などの災害のおそれを示した地図。浸水想定区域は、大雨で水につかると想定されている範囲。区域に入っていなくても、水害のおそれがないわけではない6
レインズ不動産会社どうしが取引の情報を共有する仕組み。物件の登録と詳しい検索は業者だけができる1・10
不動産情報ライブラリ国土交通省のサイト。実際に売れた値段を、町の単位で誰でも調べられる4・10

買う手続きと税

言葉意味章
買付証明書買いたい値段と条件を書いた書面。これを出して、買いたいと申し込むことを「買付を入れる」という10
重要事項の説明契約の前に、宅地建物取引士が物件と契約の大事な点を説明すること6・10
手付金売買契約のときに、代金の一部を先に払うお金10
決済残りの代金を払い、物件を受け取ること10
諸費用代金のほかにかかる費用。仲介手数料、登記の費用、税金、火災保険など。目安は買値の7〜8%4・10
仲介手数料売り手と買い手の間に入った不動産会社に払う手数料。上限は国が決めている1・2・4
減価償却建物の値段を、何年かに分けて毎年の経費にすること。土地は対象にならない5・付録2
課税される所得年収から、給与所得控除(会社員の経費とみなして差し引ける額)や社会保険料などを引いた額7
長期・短期(売ったときの税)個人が物件を売ったとき、売った年の1月1日に持ってから5年を超えていれば長期、5年以下なら短期。売って出た利益にかかる税率は、長期が約20%、短期が約40%。長期になるのは、買った年から数えて7年目の年明け以降8

1棟目のチェックリスト

1棟目を買うまでの順に並べました。左の列の□は、印刷して使うときに、確かめたら印を付ける欄です。右の列は、詳しく書いた章です。

始める前

済確かめること線・目安章
□生活費とは別の現金500万円以上。すぐ使える現金で持ち、投資信託の積み立ては続ける9
□5つの問い現金・自分で判断する気持ち・時間の見方・返事の速さ・家族への説明に、すべて「はい」と言える9
□目標キャッシュフローを増やしたいのか、純資産を大きくしたいのかを決める8・9・10
□融資の相談先物件を探す前に、貸す地域・古い物件に貸す期間・必要な自己資金を聞いておく10
□1棟目の借り先2棟目以降にどこで借りるかまで考えて選ぶ8

物件の値段

済確かめること線・目安章
□相場を何で見るか売り出しの値段ではなく、実際に売れた値段で見る4・10
□評価額路線価図と登記簿で、金融機関の評価を自分でやり直す2・10
□評価額と買値評価額が買値の8割ほどある8・10
□評価額と借りる額評価額が借りる額より大きい。8割ほどの物件を全額借りて買うと下回るので、基本は見送る。キャッシュフローが取れ、数年持って売れば勝てる見込みがあるなら、買ってもよい2・6・10
□近くで売れた値段10件以上を1㎡あたりに直し、平均と幅をつかむ4・10
□家賃から逆算した値段1年の家賃を、その地域で売れている利回りで割る。募集の家賃は少し低めに見て、売り出しの利回りを使うときは高めの利回りで割る10
□売れる値段と買値まず悪い場合(安いほうの端)で見て、平均くらいの値段でも見る。売れる値段が買値を上回る物件を探す。買値が売れる値段の約87%以下なら、費用に負けずに済む。同じくらいなら最低ライン、下回るなら基本的に買わない4・10
□目安に少し届かない物件売れる値段が買値を少し下回るなど、目安に少し届かない物件は、見送らずに資料を取り寄せ、指値の材料を探す10
□一棟の物件土地として売ったときの値段とも、買値を比べる10
□買う理由「融資が付く」「仲介手数料がかからない」「税金が減る」で決めていない4・7

物件の中身

済確かめること線・目安章
□物件の種類区分マンション・狭いワンルーム・土地から建てる新築ではなく、土地の値段が残る物件6・7
□道と土地建築基準法の道路に2m以上接している。高さ1m以上の擁壁がない。境界が確定できる。どれかに当てはまらなければ見送り6
□家賃今の家賃が、まわりの相場より高すぎない。低ければ、上げられる伸びしろがある5・6
□災害ハザードマップと、地盤が強いか、大雨で水があふれやすくないかを見る6
□修繕売主に修繕の履歴を聞き、次の大きな修繕の時期を見込む6
□契約の形サブリースなら期間・解約の条件・違約金。リースバックなら定期借家か普通借家か、買戻しの約束があるか5
□売る先入居者が出たら、住みたい人に売れる地域か5

お金と融資

済確かめること線・目安章
□返済の試算経費を引いたキャッシュフローと、元金の1年分を見る1
□金利が上がったとき金利が5.5%くらいでも、家賃から経費と返済を引いた額がプラスになる4
□手元の現金買ったあとも、住宅ローンを含む借入の総額の15%が残る6
□債務償還年数買ったあとに、持っている物件と給料を合わせた全体で20年以内に収まる8
□借りる期間手元のお金を厚くしたいなら長く、取り分を早く積みたいなら短く借りる5

買付から代金を払うまで

済確かめること線・目安章
□買付を出す前手元の現金15%と、債務償還年数20年を、もう一度確かめる10
□諸費用買値の7〜8%を見込む4・10
□重要事項の説明契約の前に受ける。水害のハザードマップの説明も受ける6・10
□融資特約1棟目は、付けて契約するのが基本10
□代金を払う前金利が上がった場合と、借りられる額が減った場合を計算し直す6

買ったあと

済確かめること線・目安章
□次の物件手元の現金が15%を下回ったら、超えるまで次は買わない6
□家賃と修繕募集の家賃、どこを直すか、管理会社を替えるかは、大家が決める5
□売る時期個人なら、買った年から数えて7年目の年明け以降に売ると、税率が約20%に下がる8

まとめ

チェックリストで目安に届かない項目があれば、そこで立ち止まり、その章を読み直してください。擁壁や前の道のように、ある・ないで決まる項目に当てはまったら、その物件は見送ります。

チェックリストのどこで止まっているか、勧められた物件がどの線を下回っているかは、無料相談で一緒に確かめられます。


この記事を書いた人:本業を持ちながら、アパートや戸建てを複数持っている大家です。宅地建物取引士・相続診断士として、150人以上の方の資産づくりを手伝ってきました。

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